中古物件は怖い?おもろい?不具合があっても笑って直そう

こんにちは!

家の声に耳を傾けるリフォームマイスターの大塚健太郎です。

 

 突然ですが、僕は建築を仕事にしていなかったら探偵になっていたかもしれません。
新しい物件の現調や、解体工事の初日に違和感を感じる事が多いんです。
それは臭いだったり、歩く時の床の音や壁をたたいた時の感触だったり

「なんか気になるなぁ・・・」
そして、いざ壁を剥がしてみると、ほらやっぱり!
あんな不具合や、こんな不具合が顔を出してきます。

TVドラマ風に言ったらさしずめ「イエコエ建築士の事件簿」でしょうか。
数々の難事件いや難不具合を見事解決する「家の声を聞く建築士」なんてね・・・

実際に見つかる不具合はその影響を考えると恐ろしくもありますが
一方で「それってギャグでしょ!」としか思えないおもろい状況だったり・・・

常識では考えられない場面が沢山あります、まさに何でもありのワンダーランド!

あ、物件を購入したオーナーさん、他人事のように面白がって大変すみません。
でもちゃんとその不具合改善してますから勘弁してくださいね。

 

 これからそのギャグ、いや不具合のとんでも事例をご紹介します。

 

 

 

 

1.デザイナーズマンションに潜む大蛇

 

 

いきなり横綱級のインパクトじゃないですか?


ここは売主さんがリノベした物件で、

ペニンシュラ型のキッチンから見えるリビングの壁なんかオーダー家具が千鳥に埋め込まれていて超ステキなデザイナーズ物件。

照明もダウンライトにスポットライトに間接照明で多様なライティングを愉しめるお洒落な中古マンションでした。


「え、これ全部壊しちゃうんですか?フルスケルトンのリフォーム希望なんですね」


僕にリノベの相談をしているSさんは、お洒落なリビングやまだ新しいキッチンになんの価値も感じない様子です。

希望されているプランは、現在のキッチンとバストイレ洗面の位置が入れ替わる形です。

むしろ、新築当時の水廻りの配置に戻るようなプランです。

 

ん?何かにおうぞ・・・

図面を見ると、新築時のキッチンは外壁に面しています。

レンジフードも背面にそのまま排気出来るシンプルなダクト計画になっていました。

それを売主さんの素敵なリノベではキッチンが部屋の真ん中に移動しています。

 

「お洒落なリビングだけど、この低くした天井に排気ダクトを隠してるんだな」

とそこまでは容易に想像できました。


でも、排気ダクトのルートにしても不必要に大きいんだよなぁ、この天井。
なんかアンバランスな感じがする~

 

そんなモヤモヤを抱えながら、2か月後リフォーム工事はスタートしました。

そして、解体工事の初日に姿を見せたのがユニットバスの上に潜む大蛇です!

「何じゃ~これ⁉」
現調の時にUBの点検口から天井裏を覗いた時には全く気が付きませんでした。

点検口の前には2室換気タイプの換気乾燥機がドンと視界を塞いでいて、その後ろのダクト配管はたいして見えなかったんです。

 

2室換気タイプ(お風呂とトイレを同時に換気)だからダクトが2本あるのはわかります。

 

でも何で長いまま結んだの?
短く切ってつなげばいいじゃん?
ゴミにするのが嫌だったのかなぁ~?

突っ込みしろ満載ですが、むしろこのぐちゃぐちゃなダクトを良くも接続できたなと褒めてやりたいくらいです。

 

さらにこのダクトのルートが滅茶苦茶。
JRの駅で例えるなら、

秋葉原(トイレ)から四谷(UB)を経由して新宿(外壁)に排気するのが理想のルート。


でもこの物件では、秋葉原(トイレ)から総武線で四谷(UB)に行き、

中央線で逆戻りして秋葉原をかすめて東京駅(キッチン)へ、

さらに外回りの山手線に乗り換えて新宿(外壁)に向かうような排気ルートを通っていました。


距離、滅茶苦茶ながっ!


UB天井うらの大蛇も問題だけど

「こんなに排気ルートが長いと、換気できねーだろ?」

工事中誰かが気が付かなかったんでしょうか?
なんで職人さんはこんな「大蛇」配管をしたんだろ?
監督は何をチェックしてたんだろ?
お洒落な設計をしたデザイナーは何してた?

さすがのイエコエ建築士もその謎は解けませんでした。
もちろん、今回のリフォーム工事ではシンプルで効率的な排気ルートに整えました。

唯一Sさんに言えたのはこれ


「スケルトンリフォームにしておいて良かったですね」

 

 

 

2.全く涼しくならない残念なお惣菜やさん

 

新築時のテナントは保険の窓口の会社、次のテナントは総菜やさんという歴史を持つこの物件は、スケルトン状態で新規テナントを募集していました。ちなみに写真に写っているエアコンとダクトは「残置物」です

ん?残置物?

そうです。賃貸契約にはあるあるなんですけど「残置物」と言うのは

使えるなら使ってもいいよ~、ただ壊れていたらごめんねぇ~
でもこっちでは処分はしないから、邪魔なら自費で撤去しちゃって~

という、もの凄く貸主に都合のいい表現。

恐るべし「残置物」

 

一方でオーナーさんが責任をもってメンテナンスするようなトイレ・キッチン・給湯器などは「設備」として賃貸契約書に記載されています。
どうです?ご自分のお店はどうなっていたか心配になりませんか?

一度賃貸契約書をじっくり読んでみてください。

 

さて、このスケルトン物件を現調したときにリフォームの依頼主であるMさんは「残置物」を前向きに受け止めていました

 

「大塚さん、将来エアコンが壊れたら本体だけ交換すればいいんでしょ?」


「もちろん可能ですよ。作業がしやすい位置にちゃんと点検口を用意しときますね」

 

天井カセットが2台にビルトインタイプが2台、これを新品で用意したら300万もかかります。

「残置物」であっても使わない選択肢はありません。おまけにロスナイまであるのですから悪くありません。

 

 リフォーム工事は現調の2か月後に始まりました。

久しぶりに見た天井の「残置物」をしばらく眺めたあと、工具をもって脚立にあがり

とりあえずは、完全に使わない吹き出し口とダクト配管を取り外すか…

 

でも2、3本のダクトを撤去したあと僕の手は止まりました

「なんだ、これ?僕の目がおかしいのか?」
再度、空調ダクトを目で追っていくとダクトがおかしい、えっ?まさか?

吹き抜けのある物件だから、

空調環境を良くするためにロスナイの配管ルートも考えたんだよね~
手前の低い天井から室内の空気をロスナイで吸って、

新鮮な外気をロスナイから奥の高い天井に吹き出してるんだよね~って、

 

えぇ~そうなってないじゃん⁉

低い天井の吸気口からダクトを指さしながらたどっていくと、

配管はロスナイには入らずそのまま高天井の吹き出し口に繋がっていました。


これ全く意味ないダクトじゃないのォ。ただ天井裏で邪魔なだけ!


ぞくっと、背中に嫌な汗をかいたような、鳥肌が立ったようなとにかく嫌悪感を感じて改めてロスナイ本体をにらみつけると

 

「おいおい、折角エアコンが冷やした空気をそのまま排気してるじゃないの⁉」


本来ならビルトインエアコンで冷やされた空気がダクトを通って吹き出し口から気持ちよく流れてくるのに…

天井から冷気が下りてきて、「あぁ~涼しい~」ってなるのに…
冷やした空気のダクトはロスナイに繋がっていました。

つまり、せっせと冷気を作って、それをそのまま外に排気していた訳です。

こんなエコじゃないロスナイなんて要らなーい!

ロスナイじゃないロスアリアリじゃん。

 

前のお惣菜屋さんの厨房、暑かっただろうな
電気代も高かっただろうな…

なんで誰も気が付かなかったんだろ?
職人は何を考えて作業したんだ?
監督は昼寝してたのか…?

Mさん、ほんとイエコエ建築士の僕にリフォームを依頼しておいて良かったですね。
この後、空調の職人を呼んで配管ルートを全て一新しました。

あぁ、今回もいい仕事しちゃったなあ…
すみません。このくらいは自慢させてください

だって使えないダクトの処分費は僕の負担でやってますからね。
ていうか、「使えない」時点で「残置物」じゃないよね。

オーナーさんに費用負担いして欲しかったなぁ・・・愚痴グチ

 

 

 

3.新築のデザイナーズマンションでカビが発生

 

新築から住んでいる自宅マンションのハーフスケルトンリフォームの相談に来られたYさん。

収納を充実させたいとプレゼンソフトで作成した、1㎝単位の詳細な収納計画を見せてくれました。

衣類や布団、カバンに本・CD・DVDなど1か所にまとめたセンタークローゼットを希望されているYさんですが、このマンションの湿気が悩みでした。

「どこからか雨漏りでもしてるんでしょうか?クローゼットのスーツにカビが生えるんです」

UBの隣で、リビングのテラスとは反対側の隅にあるとは言え、オープンタイプのクローゼットです。とてもカビが生えるほど湿気がこもるとは思えませんでした。

「解体が始まったら、雨漏れの痕跡がないかよく注意しておきます」
Yさんにそう約束して工事はスタートしました。


玄関からトイレ・洗面・浴室を残して他は全て解体して作り直す、ハーフスケルトンリフォームですが

解体工事が終わっても、特に雨漏りの跡は見つかりませんでした。


見つからない物は仕方ありません、

新しいキッチンの場所へ向けて電気のケーブルを引き直していると玄関の方でゴトッと音がしました。

解体しない天井の上の方で何かが落ちたようです。

 

解体が終わったキッチンで脚立に上り玄関の天井裏にライトを当てると、レンジフードの150φの換気ダクトが玄関上のコンクリートの梁に向けて伸びています。

ん?と思ったのはその時で、150φのダクトの横に、100φのダクトが転がっているのが見えました。
「こいつが梁から抜け落ちた音だったのか」
とは言え、普通なら梁に貫通しているダクトはがっちり繋がっていて、少々ゆすったところでびくともしません。

解体する時は抜くのを諦めて、根元からサンダーで切断する事もあるくらいです。

改めて玄関の天井に穴を開けて(工事的には壊す必要なかったのに…)ダクトが抜け落ちた部分に顔を近づけると

「おい、マジか?これそもそも繋がって無いじゃん」
普通はコンクリートの梁にダクトが貫通できるように、ボイドという筒を梁に設置してコンクリートを流します。

ところがこの玄関上のボイドはつぶれていて換気ダクトが接続出来ない状態でした。

 

梁のスリーブ穴の周りは耐火パテが盛り上がっていて、どうやら排気ダクトをこのパテに引掛けていたようです。ダクトをパテにあてがってみると、かろうじて落ちない程度に引掛かかりますが、断面の半分ほどしかスリーブに繋がりません。

 

では残りの半分はどこへ?

「はい、天井裏に逆流です」

 

え?このダクトの排気ってどこから来たの?

「お風呂からです」

え~、そういう事~
お風呂の湯気が、天井裏に漏れてたって事⁉
しかも新築当時から…

クローゼットでスーツがカビる原因これじゃん

職人はこれでいいと思って仕事したのかねぇ?
監督は現場見てなかったの?
もっと早くに気が付いていたら、管理組合からゼネコンにクレームを出すレベルですよね。
きっとこういう不具合って、ギャグなんだろうな。笑うしかないですよね。

Yさん、ほんとイエコエ建築士の僕にリフォームを依頼して良かったですよね。
この後はみ出た周囲のコンクリートを斫って、換気ダクトを適切に接続しておきました。

 

リフォーム後はカビが生える事はなくなりましたとさ、めでたしめでたし

 

 

 

とんでも事例は次回に続く…

 

 

 

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